漠然とした不安から解放される方法

脳に関するある本によると、例えば人は、「赤い車が欲しい」と考えると、赤い車に関する情報を数万件、あっという間に脳が集めてくるそうです。

また脳は「脳の中の空白を何かで埋めようとする傾向がある」と言われます。それと同じで、「不安」というキーワードが自分の潜在意識にインプットされていると不安に関する情報がどんどん増幅されていくのではないでしょうか。

「自分は管理職になれるのか」
「35を過ぎたら転職できなくなるかもしれない」
「自分はコミュ障かもしれない」

キャリアコンサルタントとしてクライエントとセッションをしていると、漠然とした不安を繰り返し訴えられることがあります。その一方で、マインドフルネス的に誘導して自分の意識の深い部分に入ってもらい「理想的な自分」をイメージしてもらうと、「今みたいに仕事と家族があればそれでいい」と具体的な不安要素はそんなに無かったりします。

ただ、だからといって「心配事の9割は起こらない」という一部の宗教家や精神科医が多用するフレーズを自分に言い聞かせても不安は減りません。残りの1割が現実化するかもしれないという不安に多くの人は怯えるのですから。

ではどうするか。

お釈迦様は「人生一切苦」だと喝破しました。「最初から最後まで人生って、大変なんだよ」と。

坂本龍馬は折に触れ日記に「どうせいつか死ぬ」と書き付けました。

死という不安や恐怖が不可避なら、そこからどう生き方を導き出すかという話になります。

ここで提案(キリッ)

具体的には「死ぬときに思い返せる出来事で脳を埋めるクセをつける」というのはどうでしょうか。

誰かを愛した記憶や誰かに愛された記憶。子ども達が健康だったこと。初めて手がけた企画がヒットしたこと。海で溺れかけたときに祖父に助けられたこと。旦那がリストラされたときにメルカリで私物がたくさん売れて少しだけ生活がしのげたこと。内臓が重篤な病気になったときに良い医者や看護師に恵まれたこと。鬱になりかけたときに同僚に助けられたこと。起業して光熱費が払えなくなる直前に新規の依頼が来たこと。駅のホームで体調が悪くなったときに周囲の人が助けてくれたこと。校内のスピーチコンテストで入賞して親がニコニコしていたこと。

「百万回生きた猫」というベストセラーの童話を書いた佐野洋子さんは、「金と命は惜しむな」と言いました。

やがて尽きる人生を目の前にして、ほんの少しだけ腹をくくれるような思い出で脳を満たしてはどうでしょうか。

とりあえず、大切な人(自分自身を含む)のためにお散歩の帰りに美味しいものでも買って帰るとか。

満たした先に一歩でも前に進めるようなことが脳の中に浮かんでくるはずです。

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